大腿骨頸部の関節包内骨折 のうち、骨折線が頸部(基部頸部〜頸部中央)を横切る経頸部(transcervical)型。AO分類31-B2に相当する。関節包内骨折で転位しているものや多骨片性のものは大腿骨頭への血液供給を妨げ、骨頭壊死(AVN: avascular necrosis)または偽関節が高い確率で発症する [2] 。本型は転位の有無で予後が二分される 点に注意する。
経頸部型では転位の有無・患者年齢 が骨接合か人工物置換かの選択にかかわる[1] 。骨折線が垂直に近い剪断型(Pauwels III型。AO分類では骨折線が最も急峻なB2.3に相当[5] )では剪断応力が優位となり、骨折の転位と内反崩壊を招く[4] 。垂直剪断骨折は解剖学的整復が困難で、固定具は強度な剪断力に対して効果的でなければならない [2] 。高齢者の転位例では人工物置換術 が選択される[1] 。
重症度・疫学
年間発生件数(日本): 頸部骨折/転子部骨折の患者数比は0.93〜0.96で、頸部骨折は近位部骨折のほぼ半数を占める[1]
好発: 骨粗鬆症を基盤とした高齢者が主体で、女性に多い[1]
受傷機転: 高齢者は主に転倒による低エネルギー損傷、若年者は通常、高エネルギー外傷[2]
1年死亡率: 日本では10%前後、海外では10〜30%(性・年齢・受傷前の歩行能力・認知症などが影響)[1]
JOAガイドライン: 大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドライン2021(改訂第3版)。頚部骨折の治療は第6章、周術期管理は第8章。推奨の強さは1(強い)・2(弱い)、エビデンスの強さはA〜Dで示される[1]
注意すべき合併症
骨頭壊死(AVN):MRIによる発生率は非転位型0〜21%、転位型44〜57%[1]
偽関節・骨癒合不全:骨癒合率は非転位型84〜100%、転位型59〜97%で、転位型で低い[1]
骨折の転位・内反崩壊:Pauwels III型では剪断応力が優位となり内反方向の力を伴うため、骨折の転位と内反崩壊を招く[4]
大腿骨頸部短縮:スクリュー固定後の高度な頸部短縮はSF-36身体機能スコアの低下と関連する[7]
深部静脈血栓症・肺塞栓症:大腿骨近位部骨折術後30日で深部静脈血栓症1.2%、肺血栓塞栓症0.7%との報告がある[1]
術後感染:人工物置換術は骨接合術より感染の危険性が高い[1]
治療方針
⚠️ 保存療法を選ぶ条件
→ 全身状態が手術に耐えられない場合[1] → 末期疾患のため手術療法の候補とならず、緩和ケアのみを行う場合[2] → 非転位型でも保存治療では14〜46%に転位を生じて手術を要しており、全身状態が手術に耐えうる症例には保存治療は行わないほうがよい[1]
高齢患者では臥床と鎮痛薬により内科的既往疾患が悪化しやすいため、治療は早ければ早いほうがよい [2] 。経頸部型は年齢・転位・全身状態により術式を選択する[1] 。
🔷 手術適応基準・術式選択
ℹ 若年者(65歳未満で健康かつ活動的な患者)の転位例:大腿骨頭を温存するため速やかな解剖学的整復+内固定 を行う[2] ℹ 垂直剪断骨折:解剖学的整復が困難で、固定具は強度な剪断力に対して効果的でなければならない。骨折線に垂直に1〜2本のコンプレッションスクリューを挿入するか、手技的に困難だがcalcarに小さな支持プレートを設置してもよい[2] ℹ 非転位型:スクリューあるいはSHS(sliding hip screw)のいずれを選択してもよい[1] ℹ 高齢者の転位例:骨頭壊死のリスクを避け早期荷重を得るため人工物置換 が選ばれる[4] 。人工骨頭置換術とTHAでは人工骨頭置換術が提案される[1] ℹ 手術時期は、内科的合併症で手術が遅れる場合を除き、できるだけ早期が望ましい[1] ℹ 年齢だけでなく活動レベル・骨密度・併存疾患・生命予後の見込み・患者のコンプライアンスを含めて個別に判断する[2]
年齢の線引きは一つではない
骨接合か人工物置換かは暦年齢だけでなく、活動レベル・骨密度・併存疾患・生命予後の見込みを合わせて判断する。80歳以上、同側の関節症、関節リウマチ、病的骨折の患者は関節形成術で治療するとのコンセンサスがある[2] 。
🔷 境界域で確認する項目
ℹ 骨折側:大腿骨頭の後捻の有無、頸部後方の粉砕の程度[2] [1] ℹ 患者側:年齢、活動レベル、骨密度、併存疾患、生命予後の見込み[2] ℹ 実行可能性:部分荷重・免荷を実際に守れるか(ほとんどの高齢者では部分荷重が難しい)[2] ℹ 見通しの共有:転位型では骨接合術は短期間に再手術にいたる確率が高く、人工物置換術は感染の危険性が骨接合術より高いことを説明したうえで方針を決める[1]
⚠️ 留保
→ 一見転位のない骨折でも、大腿骨頭のわずかな後捻がある場合は特に二次的転位を生じることがあり、内固定が必要となる[2] → 後捻の閾値は15°とする立場と20°とする立場があり、確立していない → 境界域の判断は施設・術者により異なる
治療選択アルゴリズム — 年齢×転位×Pauwels角で術式選択
診断・評価
股関節部痛と荷重困難を呈し、診察では股関節回旋で激しい痛みを訴え、外旋・短縮した下肢が特徴的である[2] 。側面像(cross-table lateral)で骨頭と頸部の前後面での傾き、転位の程度、頸部後方の粉砕の程度を評価する[1] 。
31-B2の診断ポイント:Garden分類とPauwels角
X線正面像でGarden分類(転位の程度)を、骨折線の水平線に対する傾斜でPauwels分類(I:30°まで、II:30〜50°、III:50°以上)を評価する[4] 。骨折線が垂直に近いほど剪断応力の役割が大きくなる 。Pauwels分類は転位しやすさの目安にはなるが、骨癒合の成否の目安にはならない[1] 。Garden(転位の程度)とPauwels(骨折線の急峻度)は評価軸が異なる別系統の分類である。AO分類では骨折線の傾斜がB2.1→B2.3で急峻化し、最も急峻な剪断型がB2.3に相当する[5] 。頸部後方の粉砕の程度は側面像(cross-table lateral)で評価する[1] 。
X線正面像 — 経頸部・頸部中央の骨折線
Pauwels分類 — 骨折線角度と剪断力の関係(I〜III)
Garden分類 — I〜IVの転位段階(III/IVは高齢者で人工物置換の適応)
【必須】 骨盤正面X線、患側股関節正面・側面(cross-table lateral)X線
【考慮】 CT・MRI:単純X線で骨折がみられない場合に行う。不顕性骨折の検出にはCTより診断精度の高いMRIを行う[2]
適応を分けるのは形態か転位量か — 近年の議論
Pauwels角は骨折線の傾斜、すなわち骨折の形態 を表す指標であり、骨折線が垂直に近いほど剪断応力の役割が大きくなる[4] 。一方で、骨接合を選ぶか人工物置換を選ぶかという適応 の判断には転位 の有無が用いられ、高齢者の転位した関節包内骨折では人工物置換が選ばれることが増えている[4] 。
🔷 転位量で適応を判断するという整理
ℹ Pauwels角は骨折線の傾斜(形態)を表し圧迫力と剪断力の比を決める指標、Garden分類は転位の程度を表す指標として区別する[4] [1] ℹ GAI(Garden Alignment Index):骨頭の主圧迫骨梁の軸と骨幹部内側皮質のなす角。正面像(正常160°)と側面像(正常180°)の2面で測る ℹ 健患差:同じ指標を健側でも測り、患側との差をとった値(個人差を除いて転位量を見る) ℹ 後捻:側面像(cross-table lateral)で見る骨頭の前後面での傾き。転位のない骨折でも大腿骨頭のわずかな後捻がある場合は特に二次的転位を生じることがある[2] ℹ 目安として示された値:GAI 180°以下、健患差 15°以内、後捻 15°以内
⚠️ この整理を読むときの留保
→ 提示された根拠は単施設の後ろ向き観察であり、比較試験ではない → 骨質(骨密度)は評価されておらず、整復・固定法も統一されていない → 「群間差がなかった」ことは同等性の証明ではない → 上記の目安は発表者の施設基準であり、確立した基準値ではない
整復・固定の原則
✅ 許容される整復・固定
✓ 若年例は解剖学的整復を目指す(骨粗鬆症のある高齢者では軽度外反位で骨折部を嵌入させてもよい)[2] ✓ 垂直剪断型では、固定具が強い剪断力に対して効果的でなければならず、骨折線に垂直なコンプレッションスクリュー(1〜2本)を用いる[2] ✓ 頸部骨折骨接合術のスクリュー固定では、2本より3本使用した方が再手術率が低い[1] ✓ 垂直剪断骨折には、calcarに小さな支持プレートを設置してもよい(手技的には困難)[2]
❌ 許容されない整復・操作
✕ 内反位・後捻を残した整復(若年者は解剖学的整復を目指し、骨粗鬆症のある高齢者では軽度外反位にして骨折部を嵌入させてもよい)[2] ✕ 垂直剪断型に剪断力への効果が乏しい固定を用いる(固定具は強い剪断力に対して効果的でなければならない)[2] ✕ 整復不良のまま固定(若年患者では早期の解剖学的整復と安定した内固定が骨頭の阻血性壊死の減少と関連する)[2] ✕ 関節面穿破・スクリュー過進入
整復の到達目標と確認項目
整復位は正面像だけでなく、多数の角度(0°、30°、60°、90°など)で撮影して確認する[2] 。
✅ 整復の到達目標
✓ 正面像:内反のない整復位を得る[2] ✓ 正面像:内側皮質を解剖学的に合わせる。解剖学的整復が得られない場合、骨頭頸部骨片の内側皮質が遠位骨片の内側皮質よりわずかに内側・上方に乗る positive buttress は許容されるが、髄腔側に落ち込む negative buttress は内反・短縮を招くため作らない ✓ 側面像:後捻を残さずに整復されていることを確認する[2] ✓ 整復後は1〜2本の2.0 mm K-ワイヤで固定し、整復位が正確かをさまざまな角度からの透視で確認する[2]
❌ 整復で避けるべき操作
✕ 乱暴な整復操作の反復(容易に整復されない骨折は観血的整復に切り替える)[2] ✕ 整復が不安定なまま固定を進める(不安定なら小さなロッキングプレートを一時的または最終的な固定に用いてもよい)[2] ✕ 内反位での固定(スクリュー固定後の内反の進行は頸部短縮と中等度に相関した)[7]
⚠️ 留保
→ 提示された角度は発表者が目標として用いている値であり、確立した基準値ではない → 一般に許容整復として引用される範囲は正面・側面とも 155〜180° であり、上記の側面 180°±5° はそれより狭い目標値である
固定構成は何に抗うか — バイオメカからの視点
固定材の選択を製品名で考えるのではなく、その骨折が持つ不安定性の方向に対して構成が何を担っているかで整理する、という考え方が提示されている。術後に問題となる不安定性は内反・後捻・剪断・回旋の4方向に整理される。
🔷 不安定性の方向と、対抗手段として検討されている構造
ℹ 内反:Pauwels III度では剪断力に強い内反力(Kipp moment)が加わり、転位と内反崩壊を生じる[4] ℹ 後捻:後捻しないように骨片同士を噛み込ませて整復する[2] ℹ 剪断:骨折線に垂直な1〜2本のコンプレッションスクリュー、またはcalcarへの小さな支持プレート[2] ℹ 回旋:DHSの頭側にスクリューを追加して回旋に対する安定性を得る(特に頸部後方の粉砕がある場合)[2] ℹ 整復は、スクリューを頸部の皮質に沿って挿入するための前提となる(骨粗鬆症の骨では内反なく整復した頸部の皮質に沿わせる)[2]
⚠️ このセクションの位置づけ
→ 上記はいずれも有限要素解析または人工骨モデルによる力学的比較である → 非転位型骨折の骨接合術では、スクリューとSHSの術後成績に明らかな差はなく、骨癒合・合併症に有意差がない[1] → 頸部骨折の内固定材料(スクリュー、ピン、SHS)を比較した研究では方法論の質にかなりのばらつきがあり、術者のインプラントへの習熟によるバイアスもある[1] → キャニュレイテッドスクリューは互いに平行に挿入することで骨片がスライドし、骨折部に二次的な圧迫が加わる[2] → 標準化された手技ではなく、固定を設計する際の考え方として読む
手術手技
体位
手術体位・手術台セットアップ
徒手整復: 転位例は麻酔下・透視下に下肢を愛護的に牽引しながら内旋させるか、Leadbetter法で徒手整復し、整復位は多数の角度で撮影して確認する。容易に整復されない場合は乱暴な整復操作を繰り返さず、観血的整復に切り替える[2] 。
内固定 — 若年・非転位・横型
適応: 機能的要求が高く骨量が十分な患者。65歳未満でASAスコアが低く健康で活動的な患者には、緊急で解剖学的ORIFを行う[2] 。
アプローチ — 大転子遠位外側の外側アプローチ
固定構成の比較 — 平行スクリュー(横型)vs DHS+抗回旋スクリュー(垂直剪断)
整復確認: 整復位が正確かをさまざまな角度からの透視で確認する。若年者は解剖学的整復を目指す[2]
固定法選択: スライディングヒップスクリューなどの現在の内固定材では、若年者でもPauwels III型まで安定した内固定が得られる[4]
ガイドワイヤー刺入: スクリューは互いに平行に、頸部の皮質に沿うよう円周沿いに挿入し、下方のスクリューは頸部の下方皮質(calcar)に接するようにする[2]
長さ計測・固定: スクリュー長を計測して設置し、関節面は穿破しない
必要に応じ支持プレート: 垂直剪断骨折では剪断力に効く固定として、骨折線に垂直なコンプレッションスクリューの追加か、calcarへの小さな支持プレートの設置を考慮する[2]
最終確認: AP・軸位像で位置・関節面非穿破・整復位を確認
術中透視像 — 正面/軸位(軟骨下骨5mm以内・関節面非穿破)
⚠️ 内固定 ピットフォール
✕ 垂直剪断骨折に、強度な剪断力に対して効果的でない固定を用いる[2] ✕ 内反・後方傾斜を残した整復 ✕ スクリューが非平行・頚部皮質から離れた配置 → 骨片のスライドによる骨折部の二次的圧迫が得られにくい[2] ✕ 若年で整復不良のまま固定 → 骨頭温存機会の喪失 ✕ 関節面穿破の見落とし(軸位像確認不足)
人工物置換 — 高齢者の転位例
適応: 高齢者の転位型(Garden stage Ⅲ・Ⅳ)。人工物置換術を提案し、全身状態・年齢を考慮して術式を選ぶ[1] 。
人工物置換 — 人工骨頭置換(hemi)vs 人工股関節全置換(THA)
人工骨頭置換: 低活動・高齢で股関節症のない例。手術侵襲・脱臼リスクが比較的低い
THA: 活動性が高く麻酔リスクが低い例で考慮する。人工骨頭置換術より疼痛が少なく機能スコアが良好で再手術率が低いが、手術侵襲が大きく脱臼率が高い[1]
術後管理
術後X線像(正面/側面)— 固定材または人工物の設置確認
手術タイミング: 内科的合併症で手術が遅れる場合を除き、できるだけ早期に手術を行うべきとする報告が多く、緊急で入院後24時間以内に手術する必要はないとされる。早期手術は合併症が少なく、生存率が高く、入院期間が短い[1] 。若年の転位例は大腿骨頭を温存するため速やかに内固定を行う[2]
術後荷重: 非転位型は早期荷重による合併症が少なく、転位型でも固定性が良好であれば早期荷重を行ってよい。高齢者は荷重制限の遵守が困難である[1] 。スクリュー固定後の頸部短縮が5 mmを超えると身体機能スコアが低い[7] 。65歳以下の内固定例では、術後4週から荷重を始めた群で早期荷重群より頸部短縮が少なく、疼痛・歩行能力も良好であった[8]
VTE予防: エドキサバンまたは低分子ヘパリン皮下注を術後12〜24時間より開始
疼痛管理: 術後の神経ブロック(大腿神経ブロック、腸骨筋膜下ブロックなど)は疼痛管理に有用で、アセトアミノフェンも術後疼痛に効果を示す[1]
リハビリテーション: 術後1日目から動かすことを目標とする[2] 。入院中の多職種連携によるリハビリテーションを行うことが提案されている[1]
フォローアップ
術後早期: X線で整復位を確認し、後療法(荷重・可動域)を判断する
術後経過観察: X線(整復位・固定材位置・二次転位の有無)
術後6ヶ月まで: X線で骨癒合を確認し、歩行能力を評価する(歩行能力は術後6ヵ月以内にほぼ決まる)[1]
術後2年まで: 内固定例は遅発性骨頭圧潰(LSC)を少なくとも術後2年間経過観察する(術後6ヵ月のMRIで骨頭壊死が否定できればその後の観察は不要)。FLS介入を確認[1]
固定不良・整復喪失があれば、若年で骨頭が生存していれば再内固定、偽関節・内反変形には外反骨切り、骨が脆弱で機能的要求の少ない例では人工骨頭または人工関節置換を検討する[2]
予後
経頸部型(31-B2)は転位の有無で予後が分かれる。転位型は非転位型より骨癒合率が低く、骨頭壊死や遅発性骨頭圧潰の頻度が高い[1] 。Pauwels分類は転位しやすさの目安にはなるが、骨癒合の成否の目安にはならない[1] 。
1年死亡率:日本では10%前後、海外では10〜30%と報告されている(性・年齢などが影響)[1]
骨頭壊死(AVN):骨接合術後、MRIによる骨頭壊死は非転位型0〜21%・転位型44〜57%、遅発性骨頭圧潰は非転位型0〜7%・転位型25〜41%と報告されている[1]
偽関節:骨接合術後の骨癒合率は非転位型84〜100%、転位型59〜97%と報告されている[1]
術後歩行能力:年齢・受傷前の歩行能力・認知症の程度が主に影響する[1]
大腿骨頚部骨折後は二次骨折リスクが高く、骨粗鬆症治療や転倒予防対策を講じることが推奨される。骨折リエゾンサービス(FLS)については、二次骨折発生率に差がないとする報告と、6〜30%の骨折予防効果があるとする報告がある[1] 。
📋 上級医報告前チェックリスト
1 AO分類コードを確認(31-B2 = 経頸部型・頸部中央 / 関節包内) 2 Garden分類(非転位型Ⅰ・Ⅱ/転位型Ⅲ・Ⅳ)とPauwels角を評価(Pauwels分類は転位しやすさの目安になるが、骨癒合の成否の目安にはならない)[1] 3 患者年齢・活動性・基礎股関節症を確認(内固定 vs 人工物置換) 4 手術適応・時期を確認(内科的合併症で遅れる場合を除き、できるだけ早期)[1] 5 術式を確認(高齢者の転位型→人工物置換術[1] 、内固定はスクリューまたはSHSで、SHSには回旋安定のため頭側にスクリューを追加、垂直剪断骨折には骨折線に垂直なスクリューかcalcarの支持プレートを考慮[2] ) 6 若年例は解剖整復+骨頭温存を最優先 7 術後早期にX線で整復位を確認し、後療法を判断する 8 注意すべき合併症を把握(AVN・偽関節・固定失敗・頸部短縮) 9 JOAガイドライン根拠を確認(頚部骨折の治療は第6章、周術期管理は第8章。評価は推奨度1・2とエビデンスの強さA〜D)
文献
日本整形外科学会(2021)大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドライン2021(改訂第3版). 南江堂. https://minds.jcqhc.or.jp/common/summary/pdf/c00625.pdf
Buckley RE, Moran CG, Apivatthakakul T(編)(2018)AO Principles of Fracture Management(第3版). Thieme.(日本語版:AO法骨折治療 第3版、医学書院、2020) DOI: 10.1055/b-006-149767
Pauwels F(1935)Der Schenkelhalsbruch: ein mechanisches Problem. 骨折線角度による剪断力の概念.
Bartoníček J(2001)Pauwels' classification of femoral neck fractures: correct interpretation of the original. J Orthop Trauma, 15(5):358–60. PMID: 11433141
Müller AO(1990)分類における 31-B2 サブグループは骨折線の傾斜がB2.1→B2.3で急峻化する(B2.1 基部頸部 / B2.2 中央頸部・内転型 / B2.3 経頸部剪断型)。Pauwels分類とは別系統だが「急峻=剪断=固定失敗リスク」の含意は共通.
Dou B, Mei J, Wang Z, et al.(2018)Histological Observation of the Retinacula of Weitbrecht and Its Clinical Significance: A cadaveric study. Indian J Orthop, 52(2):202–208. PMID: 29576650
Zlowodzki M, et al.(2008)The effect of shortening and varus collapse of the femoral neck on function after fixation of intracapsular fracture of the hip. J Bone Joint Surg Br, 90:1487–1494. PMID: 18978271
Hasegawa K, et al.(2024)Early versus delayed weight bearing after internal fixation for femoral neck fracture in younger adults. Injury, 55(2):111292. 65歳以下151例の多施設後ろ向き研究。術後4週からの遅延荷重群が、早期荷重群より頸部短縮量・疼痛・Parker Mobility Score で良好であった. PMID: 38157758