橈骨遠位部の関節面と骨幹端部に骨折があって骨幹部との連続性が断たれ、関節面および骨幹端部の骨折線がともに粉砕している完全関節内骨折 [2] 。AO分類23-C3に相当する。C3.2・C3.3の複雑骨折は若年患者の高エネルギー外傷の結果であり、剪断力と圧迫力の組み合わせが関節骨片の著しい転位・嵌入・粉砕をもたらし、重度の軟部組織損傷を合併する可能性もある [1] 。これらの複雑骨折では関節骨片が小さすぎて従来のスクリューやミニフラグメントのプレートでも固定できないことがあり、軟骨下骨欠損は海綿骨移植で充填する[1] 。
重症度・疫学
年間発生率(日本): 橈骨遠位端骨折の本邦での発生率は人口1万人あたり10.9〜14人。AO分類では完全関節内骨折であるC型が25〜32%を占め、受傷外力が強くなるほどC型が増える[2]
好発: 23-C3のうちC3.2・C3.3の複雑骨折は若年患者の高エネルギー外傷の結果として生じる[1] 。橈骨遠位端骨折全体では発生率は加齢とともに増加するが80歳を超えたあたりがピークで以後は減少に転じ、転落・交通事故などの高エネルギー骨折は男性に多い[2]
受傷機転: 高エネルギーの軸圧外傷では圧迫力が主体となり関節面骨片の嵌入を生じ、剪断力が作用すると掌側関節面が部分転位する。C3.2・C3.3の複雑骨折では剪断力と圧迫力の組み合わせが関節骨片の著しい転位・嵌入・粉砕をもたらす[1]
関連ガイドライン: 橈骨遠位端骨折診療ガイドライン2017(改訂第2版・日本整形外科学会・日本手外科学会)は「転位のある関節内骨折に対して手術療法は保存療法より有用である」としている(推奨の強さ2(弱い)/エビデンス総体C(弱))
注意すべき合併症
外傷後変形性手関節症(橈骨遠位端骨折の合併症として変形性手関節症・変形性遠位橈尺関節症は7〜65%の報告がある。2 mm以上の関節面段差は早期の外傷後関節症の発生と強く相関する)[2]
手根管症候群:受傷直後に急性に発症することがあり、不適切なギプス固定や骨片の転位によって亜急性にも発症するため、徒手整復や観血的整復の前後に慎重に評価する[1] (手根管症候群・正中神経障害は0〜22%の報告[2] )
長母指伸筋腱(EPL)断裂:掌側プレート固定後の伸筋腱断裂はEPL腱断裂の報告が多く、損傷原因はスクリューの背側突出が多い(EPL腱断裂・伸筋腱断裂0〜30%)[2]
遠位橈尺関節(DRUJ)不安定性:TFCC損傷の合併率は手関節鏡で42.0〜73.1%で、周辺部断裂のうち尺骨小窩断裂がDRUJの不安定性をきたす[2]
尺骨茎状突起骨折合併(51.8〜65.9%。尺骨茎状突起骨片の橈側への4 mm以上の転位はTFCC尺骨小窩断裂、ひいてはDRUJ不安定性を示唆する)[2]
複合性局所疼痛症候群(CRPS):橈骨遠位端骨折の合併症として0.3〜35%の報告がある[2]
遷延治癒・偽関節:橈骨遠位端骨折の合併症として0.7〜4%の報告がある[2]
固定失敗:橈骨遠位骨幹端部の皮質は薄く、従来のスクリューでは絶対的安定性のある十分な固定性が得られない(特に骨粗鬆症)[1]
肺塞栓:頻度は少ないが橈骨遠位端骨折の合併症として報告があり、注意を要する[2]
治療方針
⚠️ 保存療法(転位のある関節内骨折では手術療法がより有用)
→ 転位のある関節内骨折に対して手術療法は保存療法より有用とされる(推奨の強さ2(弱い)/エビデンス総体C(弱))。個人の活動性や社会的背景、健康状態などを総合的に考慮して治療法を選択する[2] → 活動性の低い高齢者では関節面の転位の残存が臨床症状に影響する可能性は限定的で、関節面の残存変形の許容範囲は青壮年の基準値より大きい[2] → 手術適応のほとんどの橈骨遠位端骨折では、手術を受けるまで徒手整復+ギプス(副子)固定が推奨される[1]
🔷 手術適応基準・術式選択
ℹ 固定の考え方:23-C3では関節骨片が小さくロッキングプレートの付加的利点がない状況がある。整復は掌側月状骨窩骨片から始め、背側の関節切開で橈骨手根関節を評価し、小さい関節骨片はK-ワイヤを軟骨下に挿入して仮固定する[1] ℹ 追加固定オプション:複数プレート(fragment-specific fixationなど)は、掌側ロッキングプレート単独では固定性が不十分と考えられる場合に有用であるが、合併症に十分留意する[2] 。経皮的に整復不可能な転位のある背側月状骨窩骨片や中心部に嵌入した骨片は背側進入法の適応となる[1] ℹ 骨移植・骨代用品:軟骨下骨欠損は関節面を支持し骨幹端部の骨癒合を促進させる海綿骨移植で充填する[1] 。人工骨(β-TCPなど)移植は高度に骨が脆弱な症例や骨折部に大きな空隙を生じた場合に有用である[2] ℹ 創外固定:最も重篤な軟部組織損傷では、デブリドマン後の骨折固定の第一段階として関節架橋型の創外固定を装着する。汚染した重篤な開放骨折・高エネルギー外傷の一時的な固定・多発外傷などが適応となり、C3.2・C3.3の複雑骨折では創外固定器を保護目的で使用し6週間留置する[1] ℹ 関節鏡補助下整復:関節内骨折の整復に有用だが、手関節鏡の設備と熟練した手技を要し、本骨折の手術に携わるすべての医師が施行できるわけではない[2] ℹ DRUJ評価:橈骨の整復固定後に徒手検査でDRUJの不安定性を評価し、不安定性を認める際には尺骨骨折の骨接合やTFCC断裂の修復術を考慮する[2] ℹ 手術適応:青壮年者の関節内骨折では、2 mm以上の関節面段差(step-off)がある場合は変形性関節症を発生する可能性が高く、手術療法が推奨される[2] 。X線上不安定性を示唆する所見は著しい骨幹端部の粉砕、角状変形>10°、短縮>5 mm、関節面転位>2 mm、手根骨アライメント不良である[1]
治療選択アルゴリズム — 23-C3完全関節内複雑型・高度粉砕への掌側VLP+追加固定の術式選択フロー
診断・評価
手関節骨折では開放創(通常掌側・尺側)と正中・尺骨神経損傷の検索 を必ず行う。高エネルギー外傷ではコンパートメント症候群を生じる可能性がある。受傷直後に急性の手根管症候群を発症することがあり、徒手整復や観血的整復の前後に慎重に評価する[1] 。
X線正面像・側面像: 橈骨遠位の関節面粉砕骨折線・骨幹端粉砕の範囲・橈骨短縮量・掌側傾斜角・橈骨傾斜角を評価し、正常値(radial height平均12 mm、radial inclination平均23°、palmar inclination平均12°)を基準に転位量を定量する[1] 。尺骨茎状突起骨折のサイズ・転位量とDRUJ不整合の有無を確認する。斜位像や比較用の健側の画像も有用である[1] 。
CT: 関節内骨折の診断にCTは有用であり強く推奨される[2] 。月状骨窩・舟状骨窩・橈骨尺骨切痕の関節面の適合性や転位を評価し、3D再構成で骨片の位置・サイズ・骨幹端部への広がりを把握する[1] 。3D-CTの追加は冠状面骨折線の判定の観察者内一致度を高めたが観察者間一致度は改善せず、関節面粉砕の判定では観察者内・観察者間の一致度をともに高め、進入法の選択(開放手術・掌背側併用進入の増加)を変えた[3] 。
術前X線正面像・側面像 — 橈骨遠位関節面の複雑粉砕骨折・骨幹端高度粉砕・橈骨短縮・背側転位を評価
CT横断面・3D再構成 — 関節面骨片数・各骨片転位方向・月状骨窩-舟状骨窩の独立した転位・骨幹端粉砕の三次元評価
✅ 許容される整復(橈骨遠位部の基準)
✓ 関節面のgap・step-off 2 mm未満(青壮年者。高齢者では許容範囲は青壮年より大きい)[2] 。23-C3では月状骨窩と橈骨尺骨切痕の再建に重点をおく[1] ✓ 橈骨短縮の矯正(正常のradial heightは平均12 mm)[1] ✓ 掌側傾斜の回復(正常のpalmar inclinationは平均12°)[1] ✓ 橈骨傾斜の回復(正常のradial inclinationは平均23°)[1] ✓ DRUJ整合性の回復(橈骨尺骨切痕の骨片の整復と橈骨骨幹部の尺方転位の修正に注意し、骨間膜遠位部によるDRUJの安定化効果を回復させる)[1]
❌ 許容されない変形
✕ 関節面段差(step-off)2 mm以上(早期の外傷後関節症の発生と強く相関する。外傷後5年以内では画像上の関節症は臨床症状に明確には関連しない)[2] ✕ 橈骨短縮(ニーズの高い患者の背屈骨折では整復後に3 mmを超える短縮が手術適応とされる[1] 。慢性期には変形治癒で短縮5 mm以上ではDRUJの機能障害がおこるとされる[2] ) ✕ 背側傾斜 10°以上(関節外骨折の徒手整復後では、青壮年者のpalmar tiltは−10°未満であればほぼ許容されるとされ、50歳未満の症例で背側傾斜10°以上では日常生活動作・就労・手関節外観に影響がみられた)[2] ✕ 橈骨傾斜の低下(青壮年者の関節外骨折でRI 15°未満の群はPRWEが不良であった一方、50歳未満の症例ではRIは影響しなかったとの報告もある)[2] ✕ DRUJ不安定性の残存(尺骨頭を橈骨尺骨切痕に押し付けながら前腕を他動的に回内外させて「カクッ」という感触があればDRUJの不安定性を考える[1] 。ただしすべてのDRUJ不安定性が愁訴を生じるわけではない[2] ) ✕ 掌側月状骨窩骨片の整復・固定不全(23-C3では月状骨窩と橈骨尺骨切痕の再建が主目標で、整復は掌側月状骨窩骨片から始める)[1]
手術手技
体位
仰臥位(標準): 患肢を手台に置き、止血帯を巻く。X線管は手台下に配置し、X線管を除いて透視装置をドレーピングする。執刀医は患者の体側に座り、手台を挟んで反対側に助手が座る。助手と器械出しナースが透視装置の邪魔にならないようにし、透視画像のスクリーンは手術チームと放射線技師に全景が見られるように配置する[1] 。
体位・透視設定 — 仰臥位・hand table・前腕回外位・Cアーム配置(AP・側面透視)
掌側ロッキングプレートORIF(VLP)+補助固定 — 第一選択
C3.2・C3.3の複雑骨折では関節の粉砕が課題で、関節骨片が小さすぎて従来のスクリューやミニフラグメントのプレートでも固定できない場合があり、この状況ではロッキングプレートの付加的利点はない。小さい関節骨片はK-ワイヤを軟骨下に挿入して仮固定し、骨折形態に応じて背側または掌側の小さなプレートで骨幹端部の安定性を増し、創外固定器を保護目的で6週間留置する [1] 。
掌側Henryアプローチ — FCR腱と橈骨動脈の間の展開、方形回内筋切離、関節面複雑骨片の確認
アプローチ(Step 1): 橈側手根屈筋(FCR)腱に沿って縦皮切をおき、FCR腱鞘を開いて腱を尺側へ引く(正中神経を圧迫しない)。深層の長母指屈筋(FPL)を遊離して尺側へよけ、方形回内筋を近位の橈骨付着部より挙上して遠位に向かいL字型に展開する。手関節の掌側靱帯は手関節が不安定になるため、関節面を展開する目的で橈骨から切離してはならない[1]
骨折の整復 — 個別骨片から(Step 2): 整復は全体構造の中で重要な役目を担う掌側月状骨窩骨片から始め、小さい関節骨片はK-wireを軟骨下に挿入して仮固定する。転位・嵌入した骨片の整復には背側の関節切開と橈骨手根関節の評価が必須とされる[1]
骨幹端整復(Step 3): 軟骨下骨欠損は、関節面を支持し骨幹端部の骨癒合を促進させる海綿骨移植で充填する。骨折の形態に応じて、背側または掌側の小さなプレートで骨幹端部の安定性をさらに高められる[1]
プレート設置(Step 4): 角度可変型(多方向性)掌側ロッキングプレートでは、AO分類C3骨折に対してロッキングスクリューを軟骨下や各骨片に狙って挿入できる[2]
遠位スクリュー設置(Step 5): 手関節を75°掌屈し背側骨皮質を接線方向から撮影するskyline viewは、側面撮影や回内斜位撮影よりスクリューの背側骨皮質突出の検出に優れる[2]
補助固定(Step 6): 背尺側骨片は橈骨手根関節と遠位橈尺関節の一部で解剖学的整復を要する。牽引と、掌側骨片・プレートへの徒手的圧迫で整復されない場合は、K-wireによる経皮的操作か背側アプローチでのORIFを行う[1]
DRUJ評価(Step 7): 橈骨の骨接合後に術中DRUJの不安定性を徒手検査などで精査する。健側と明らかな差があれば尺骨茎状突起基部あるいは骨幹端部を含む骨折の骨接合を行い、なお不安定性が残ればTFCC損傷の修復を考慮する。ただしすべてのDRUJ不安定性が愁訴を生じるわけではなく、これらの処置の適応は限定的であるべきかもしれない(青壮年・利き手など)[2]
最終透視確認(Step 8): 管球を遠位に15°傾斜した側面像では橈骨関節面が手根骨やプレートの遠位スクリューと重ならず、掌側傾斜の測定の検者間信頼性が高い[2]
掌側ロッキングプレート設置後の術中透視(AP・側面・Skyline view) — 多骨片支持・スクリュー配置・関節面非穿破を確認
⚠️ 掌側VLP(複雑型)ピットフォール
✕ 掌側月状骨窩骨片の同定漏れ → 複雑型の再建は月状骨窩と橈骨尺骨切痕に重点をおき、これらの骨片は術前と術中に同定する[1] ✕ 掌側プレートの遠位すぎる配置・方形回内筋での被覆不足 → 屈筋腱の滑膜炎・腱断裂[1] ✕ 遠位インプラントの位置決め・不適切な進入法と骨片の展開・不適切な透視操作(傾斜した側面像)→ スクリューの関節内貫通。多くの場合は骨折の整復不良があり、ロッキングスクリューでさらにリスクが増大する[1] ✕ 骨幹端の皮質骨粉砕や骨折部の空隙に対する骨(人工骨)移植の検討漏れ → 全例には不要だが、骨粗鬆症を有する高齢者・骨折部の空隙・関節面および骨幹端の皮質骨の粉砕では必要に応じて使用する[2] ✕ 掌側からの操作で背尺側骨片が整復されないまま固定を終える → この骨片は橈骨手根関節と遠位橈尺関節の一部であり、K-wireによる経皮的操作か背側アプローチでのORIFが必要[1] ✕ DRUJ評価の省略 → X線検査では証明できないDRUJ不安定性を見落とす(不安定性がみられた例は疼痛・機能評価が不良との報告)[2] ✕ 橈骨長の回復不足 → 橈骨の短縮に伴う尺骨変異の増加が尺側部痛の原因となる[2]
創外固定(暫定固定・ダメージコントロール)
適応: Gustilo grade 2・3の開放骨折や神経血管損傷を伴う骨折は迅速な外科的管理を要し、最も重篤な軟部組織損傷ではデブリドマン後の骨折固定の第一段階として関節架橋型の創外固定を装着する[1] 。
術後管理
術後X線正面像・側面像 — 掌側VLP+補助固定後。関節面整復・橈骨長・掌側傾斜・橈骨傾斜・スクリュー位置・DRUJ整合性を確認
手術タイミング: 適切な手術時期については早期手術を支持する報告と待機手術でも成績は変わらないとする報告があり見解は一致していないが、一般に日数の経過とともに骨新生が進み骨片の可動性が低下するとされることから、できるだけ早期、遅くとも受傷後3週以内の手術が望ましいとされる[2]
術後外固定: 掌側ロッキングプレートは通常術後外固定なしで整復位を保持でき、術後6週までの外固定の有無は成績に影響しない。疼痛緩和目的、尺骨茎状突起骨折・三角線維軟骨複合体損傷などの合併損傷がある場合、プレートの固定性に不安がある症例では短期間の外固定が有用である[2]
VTE予防: 橈骨遠位端骨折の合併症として頻度は少ないものの肺塞栓の報告があり、注意を要する[2]
疼痛管理: アセトアミノフェン定期投与を基本とし、術後48〜72時間はNSAIDs(骨癒合への影響を考慮し短期使用)。局所麻酔・神経ブロック(橈骨神経・正中神経ブロック)を積極的に活用。CRPS予防にビタミンC(500mg/日×50日)の術前後投与を考慮
リハビリテーション: 手関節の固定期間中も、患側の肩・肘・手指の可動域訓練や健側の筋力強化・可動域訓練を行うことで拘縮予防や早期回復が期待できる[2]
フォローアップ
術後2週: 創部確認・抜糸。X線(整復位維持・プレート位置・骨片転位の再発なし)。腫脹軽減のための外固定は術後数日とし、手や上肢全体の運動と前腕の回内外運動を行う[1]
術後6週: X線(骨幹端骨癒合の初期評価・関節面整復維持確認)。創外固定器を保護目的で併用した例では6週間の留置後に除去を判断する[1] 。掌側ロッキングプレート固定例では術直後から手関節可動域訓練を行っても良好な臨床成績が得られている[2]
術後3〜4ヵ月: X線で骨癒合を評価する。関節面の再建が不可能な重度粉砕に対して手関節の架橋プレートを用いた場合は、通常3〜4ヵ月でX線上骨癒合が確認できたらプレートを抜去する[1]
術後6ヶ月: 機能回復は6ヵ月までに大きく進み、その後も1年以上にわたり緩徐に続く[2]
術後1年: X線 ± CT(変形性手関節症の進行・DRUJ整合性・インプラント周囲変化の長期評価)。掌側ロッキングプレートは、屈筋腱とプレート遠位縁の接触を示唆する所見があり屈筋腱損傷が危惧される場合に抜去を考慮する[2]
予後
骨癒合:橈骨遠位端骨折は海綿骨の豊富な骨幹端部に生じ、遷延癒合例自体が少ない[2]
骨癒合期間:骨幹部に及ぶ骨折では骨幹端の骨折よりも骨癒合に時間がかかる[1]
手関節可動域:変形治癒例では可動域が正常まで回復することが困難な場合がある[2]
握力回復:握力の回復は可動域の回復より時間がかかる傾向があり、加齢は回復を遅らせる要因となる[2]
主要合併症(掌側ロッキングプレート固定の報告):長母指伸筋腱断裂・伸筋腱断裂0〜30%、手根管症候群・正中神経障害0〜9.9%、長母指屈筋腱断裂0〜9.3%[2]
インプラント抜去:抜去前後で臨床成績に有意差はないが、屈筋腱とプレート遠位縁の接触を示唆する所見があり屈筋腱損傷が危惧される場合はプレート抜去を考慮する[2]
📋 上級医報告前チェックリスト
1 AO分類コードを確認(23-C3 = 完全関節内骨折・関節面複雑型+骨幹端複雑型) 2 CT評価完了(冠状面の骨折線と関節面の粉砕は3D-CT再構成を加えて評価し、関節面中央の陥没は2D-CTの冠状断・矢状断で評価する)[3] 3 橈骨パラメーター計測(橈骨短縮量・掌側傾斜角・橈骨傾斜角の定量) 4 開放創と正中・尺骨神経損傷の検索、高エネルギー外傷ではコンパートメント症候群の評価[1] 5 DRUJ不安定性を示唆する術前X線所見(遠位骨片の橈側転位・橈骨遠位端尺側傾斜の減少・高度の橈骨短縮・尺骨茎状突起骨片の橈側への4mm以上の転位)の確認[2] 6 術前計画確認(アプローチ方向・プレート選択・fragment-specific固定の追加・骨移植の準備) 7 skyline view(手関節75°掌屈で背側骨皮質を接線方向から撮影)でスクリューの背側骨皮質突出を術中確認する計画があるか[2] 8 月状骨窩・橈骨尺骨切痕の重要骨片を術前に同定し、掌側月状骨窩骨片から整復する計画を立てているか[1] 9 骨幹端空隙への骨移植・骨代用品(β-TCP)使用の準備(粉砕程度に応じて) 10 DRUJ安定性の術中評価と追加処置(尺骨茎状突起固定・TFCC修復)の計画
文献
Buckley RE, Moran CG, Apivatthakakul T(編)(2018)AO Principles of Fracture Management(第3版). Thieme.(日本語版:AO法骨折治療 第3版、医学書院、2020) DOI: 10.1055/b-006-149767
日本整形外科学会(2017)橈骨遠位端骨折診療ガイドライン2017(改訂第2版). 南江堂.
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Orbay JL, Badia A, Indriago IR, et al.(2001)The extended flexor carpi radialis approach: a new perspective for the distal radius fracture. Tech Hand Up Extrem Surg, 5(4):204–11. PMID: 16520583